東北海道の面積と人口を他の都府県と比較する。

前回の「東北海道の規模を土地総面積と人口について検証する。」では他の国との比較を試みました。

今回は視点を日本国内に変えて、東北海道の面積と人口を日本国内の他の都府県と比較して、東北海道の規模を考えてみましょう。

前回のお話の確認する意味も含めて、今一度、東北海道の土地総面積、人口、人口密度の集計を振り返ります。

地域名土地総面積 [km2]
(平成28.10.1)
人口 [人]
(令和2年10月1日)
男性 [人]女性 [人]人口密度 [人/km2]
宗谷地域4,626.0762,18730,88031,30713.443
オホーツク地域10,690.49273,630131,565142,06525.596
十勝地域10,831.62332,918159,715173,20330.736
釧路地域5,997.07222,798104,970117,82837.151
根室地域3,438.3571,82035,19636,62411.870
東北海道 小計
[北方領土地域を除く]
35,583.60963,353462,326501,02727.073
北方領土地域5,003.10
東北海道 合計40,586.70
「東北海道 合計」の人口、人口密度は北方領土地域の人口を計測できないため表示しない。

では、まず土地総面積について、他の都府県と比較します。なお、土地総面積の資料は国土交通省国土地理院令和3年全国都道府県市区町村別面積調(4月1日時点)に基づいております。
北方領土地域を除く35,583.60km2という面積は、北海道(東北海道+西北海道)に次いで面積が広い、第2位の岩手県(15,275.01km2)と第3位の福島県(13,784.14km2)に、栃木県(6,408.09km2・第20位)を加えてもまだ広い面積、ということになります。また、首都圏との比較では、東京都(2,194.05km2・第45位)、神奈川県(2,416.10km2・第43位)、埼玉県(3,797.75km2・第39位)、千葉県(5,157.50km2・第28位)の1都3県の面積(13,565.40km2)に、茨城県(6,097.39km2・第24位)、群馬県(6,362.28km2・第21位)、栃木県(6,408.09km2・第20位)の北関東3県(18,867.76km2)を加えてもまだ及ばない面積となります。これだけの広大な面積に加えてさらに千葉県(面積は前出)、福岡県(4,986.51km2・第29位)の面積に匹敵する北方領土地域があり、改めてその広さの規模を実感いただければと思っております。

一方、人口の面について、963,353人という人口を令和2年国勢調査人口速報集計結果を参考にして他の都府県と比較してみますと、富山県(1,035,612人・第37位)よりも少なく、秋田県(960,113人・第38位)よりも僅差ながら多い、その間に位置する人口であることがわかります。人口の面では一つの県になり得ると考えることもできそうです。
以下に人口の順位を、東北海道を中心として上位下位各5県を一覧としてまとめておりますので、ご参照ください。

順位県名 人口 [人]
33石川県1,133,294
34大分県1,124,597
35宮崎県1,070,213
36山形県1,068,696
37富山県1,035,612
東北海道963,353
38秋田県960,113
39香川県951,049
40和歌山県923,033
41佐賀県812,013
42山梨県810,427

さらに人口密度についてですが、以上のような面積、人口の関係から人口密度を見てまいりますと、他都府県とは比較にならない低さであることは明白、ということになります。
北方領土地域を除く東北海道の人口密度は27.073人/km2であり、これは47都道府県中で人口密度が最も低い北海道の66.7人/km2の半分以下、約40.6%ということになります。なお、参考までに47都道府県で最も人口密度が高いのは言わずもがなの東京都であり、その人口密度は6,410.4人/km2となります。世界各国の人口密度(※)と比較いたしますと世界で3番目に人口密度が高いシンガポール(8,044.53人/km2)、次ぐ第4位の香港(7,149.90人/km2)と同程度の人口密度となります。このように見ると東京都と東北海道の人口密度の差の大きさを少しでも感じていただけるのではないかと思います。
(※)世界の人口密度は「グローバルノート – 国際統計・国別統計専門サイト」内「世界の人口密度 国別ランキング・推移」の2019年の資料による。

人口密度の集計をしておりますと、私が設定する「東北海道」と東北海道ではない地域、その地域を「西北海道」として、北海道を東北海道と西北海道に分けて考察する必要もあると考えます。そこで以下に北海道の土地総面積、人口、人口密度を東北海道と西北海道に単純に分けた表を掲示します。なお、作表にあたって参照している「令和2年国勢調査人口速報集計結果」は面積の算出に国土交通省国土地理院「令和2年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点)」を用いており、そこでは北方領土地域(歯舞群島,色丹島,国後島及び択捉島)を除いて算出しているため、ここでも東北海道から北方領土地域を除いて算出しております。また、人口の男性、女性の数値は除いております。

地域名土地総面積 [km2]
(平成28.10.1)
人口 [人]
(令和2年10月1日)
人口密度 [人/km2]
北海道(全体)83,424.445,228,88566.7
東北海道35,583.60963,35327.073
西北海道47,840.844,265,53289.161
北海道全体は 「令和2年国勢調査人口速報集計結果」から抜粋。
西北海道の土地総面積、人口の数値は[北海道(全体)]から[東北海道]を単純に差し引いて掲載した。

参考までに、北海道の人口は全国で第8位の多さになるのですが、西北海道だけを見ると福岡県(5,138,891人・第9位)と静岡県(3,635,220人・第10位)の間に入ることになります。また、人口密度の面では、西北海道の89.161人/km2は秋田県(82.5人/km2・第45位)と高知県(97.4人/km2・第44位)の間ということになります。

前回は東北海道の地域規模を他国との比較を含めて検証し、東北海道は一つの国として成立するだけの規模を有しているのではないだろうかということを提起しました。
今回は東北海道の地域の規模を確認するために、他の都府県と面積、人口、人口密度の面から比較してまいりました。今回の比較を通じて、少なくとも私は東北海道が独自に自治活動が可能な地域であることについて一定程度の検証がなされたものと考えます。

すなわち、いずれかの時期、それは近い将来なのか、遠い将来なのかは定かではありませんが、東北海道が48番目の都道府県となり得る、その可能性は否定されるものではないでしょう。
さらには、これから何世代かを経た後、東北海道が一つの国として新たな道を歩み始めることもあるのではないか。その可能性も否定するものではないと考えます。

東北海道に新たな可能性を求めてたくさんの方々の英知が必要となる、近い将来なのか、それとも遠い未来のことなのか、いずれそのような時期がやってくるかもしれません。

2021.08.01

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