「全国旅行支援」が地方にもたらす影響とは。

「全国旅行支援」とは、文字通り2022年11月11日(火)から(同年12月20日まで)全国で開始された旅行支援事業であり、旅行代金の40%(交通付旅行商品の場合は8,000円を、それ以外の場合は5,000円を上限)の支援を受けることができ、さらに平日は3,000円、休日は1,000円の地域クーポンが付与されるという、甚だ簡単ながらそのような事業であります。甚だ簡単に、と申しましたのは、支援を受けるのにはさまざまな条件がありまして、簡単には説明できないところもありますので、あくまでも概要として、ということをご理解いただきたく存じます。

さて、この「全国旅行支援」でありますが、私はこの事業については様々で複雑な課題、問題が山積していると思っております。今回はこの「全国旅行支援」の問題を取り上げてまいります。

10月25日(火)の報道によると、北海道における新型(もはや新型ともいえないが)コロナウイルス感染者数は5574人。5000人超は47日ぶり、とのことでありました。また、他の報道、資料を見ると都道府県ごとの感染者数の順位は東京が1位で北海道が2位であり、以下3位は神奈川、4位が大阪と続くのだそうでした。
そこで、この時点までの新型コロナウイルス感染者数の推移を見ておりましたら、北海道だけがコロナウイルス感染者数が10月12日以降増え続けていたのです。その原因として道は「気温の低下に伴って換気が不十分」であることをその理由として挙げておりましたが、見方を変えれば、これには全国旅行支援の影響も少なからずあるのではないかと考えずにはいられませんでした。

現行の「全国旅行支援」においては、身分証明証とコロナワクチン接種証明書を提示すれば支援が受けられることになっております。
そこで、宿泊施設ではよくある話なのですが、あるお客様から「4人のうち1人だけワクチン未接種なんだけど、その人は割引(=全国旅行支援の対応)はいらないけど一緒に行くからね」と電話で伝えられて、あるいはそのようなお客様の中にはコロナウイルスのキャリアになっている可能性もないとは言えないのではないかと考えられるのです。この話は仮定の話ではなく実際に会った現実的な話であり、そのことで従業員がコロナウイルスに感染するリスクが増大する可能性が少なからずあるものと考えております。もっともワクチン3回、4回打っていても、軽症ながらも感染するときには感染してしまうのですけれども、数多くのお客様の中にはコロナウイルス感染拡大防止に対する意識の強弱の差があることは否めず、そのことが旅行という行為を通じてコロナウイルス感染拡大を引き起こすことになりかねないのだということをここで今一度認識し直すべきなのです。

さらに申し上げると、この感染拡大は単に感染者の増加に留まらず、さらなる危険を内包していることも認識し直さなければなりません。
「全国旅行支援」は疲弊する地方経済を刺激し、循環させ直すために実施するのだという狙いも理解できますが、しかし経済対策もたしかに大切かもしれませんが、地方の人材不足は本当に深刻な問題となっているという事実にも目を向けなければなりません。
上記に挙げた例によって、1人の職員がコロナウイルスに感染したとします。そうなるとその方は1週間は自宅療養になり、その間の職場は1名減となります。そこで、コロナウイルスは感染症でありますから、その症状が現れるまでに他の職員が感染しているかもしれません。そうして1人、また1人・・・と感染が進み、これが一気に拡大すると「クラスター化」となります。その結果、皆様ご承知の通り、企業としては人員不足によって営業の継続ができなくなってしまいます。
この流れで本当に感染が拡大してしまったら、「全国旅行支援」で地方に人が動く → 一時は良い(「経済が回復するぞ!」と皆が喜ぶ) → しかしここで地方への感染が広がれば → 営業の継続が難しくなり、営業を停止せざるを得なくなる、ということになります。「全国旅行支援」を実施しなければ地方経済が窮地に立たされるけれども、「全国旅行支援」を実施したために地方経済が窮地に立たされる。どう転んでも地方の経済が滞る・・・ということになりかねないな、と思っているのであります。

さて、そうなると我々はこの状況に対してどのように行動するべきなのかを考えなければなりません。

ここからは私の持論となるのですが、まず第一にはこの「全国旅行支援」を、実施中に評価し直すべきであると考えます。
そもそも「全国旅行支援」の「旅行支援」は「旅行者への支援」であって「旅行を含めた観光関連事業者への支援」ではないことを確認しておく必要があります。「この事業の支援対象者である旅行者にはメリットはあるが、事業の二次的な支援対象者である事業者に対しては期待された支援がなされているか」を今一度評価するべきです。そのうえで、評価内容によっては継続か中止かを検討する必要もあるものと考えます。さらに評価を通じて、今後の施策を策定し直さなければならないでしょう。場合によっては、一時中止するだけではなく、先に北海道で行われていた「どうみん割」に戻すことも考えても良いものと思います。その際、北海道のみ「全国旅行支援」の適用除外地域とすることになるでしょう。しかし、私は少なくとも、北海道民の生命・健康と財産を守るという視点に立ってみれば、北海道として当然のことであると考えます。

また、長い年月がかかる事業になりますが、今後の北海道を考えると、やがては北海道を独立行政地域にすることも検討の余地があるでしょう。私個人としてはこのWebサイトの中で、北海道を東北海道と西北海道に分けるべきであるということを主張しており、この考えは全く変わっておりませんが、せめて北海道を日本の中の独立行政地域として、当面は道州制への道を探っていくことが求められることになると考えております。

後段ではかなり飛躍した論評になりましたが、ここでは「全国旅行支援」が地方にもたらす影響を中心に考えてまいりました。
何かを行動しなければ地方は疲弊するが、そのやり方によってはさらに疲弊しかねません。そうして、やがて地方にいる者たちが自分たちの力で新たな仕組みや制度を作り上げていくことを求められる時代が来ることになるでしょう。私に常にそう思っております。

2022.10.30

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